土地建物など不動産は相続した方が有利か考えておく

家族が遠くに暮らしている場合、不動産を生前に処分するほうが良いのか、又は相続したほうが良いのか迷うものです。承継する予定の方々が帰郷する見込みがなければ生前処分が最善でしょうが、先々のことで判断ができなければ不動産の価値や費用に関して予め考えておくと良いでしょう。
不動産の価値を判断するときに用いられる基準としていくつかの価格があります。毎年7月に発表される路線価、3月に発表される公示価格、実勢価格などがあります。仲介者を介さずに売買するならば契約で自由に定められますが、不動産会社などの仲介を依頼すれば手数料を含めた費用が掛かるため、土地建物の現在価値を知るには、どの評価を用いれば良いとは断言はできません。ただ単に基準が知りたいならば、路線価を用いることが多いといえます。路線価は、土地が接している道路(路線)の価格に地積を掛けると概算額が分かります。路線価図は国税庁のホームページで閲覧できるので参考にすると良いでしょう。

こうした不動産自体の価値のほか税金の計算方法を知ることも大切です。生前に処分するならば所得税や贈与税の負担について、亡くなった後であれば相続税について理解しておきましょう。不動産を売却して得た利益は所得税における譲渡所得として原則課税対象になります。分離課税といって給与等とは別に計算されます。譲渡価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた額に15%を乗じて算出します。贈与した場合は原則年110万円以上であれば、価格に応じて10%から累進的に上昇する税率を乗じて算出します。ただし特例があり、夫婦間で住宅資金を贈与する場合や住宅自体を贈与する場合であれば2000万円までの配偶者控除が受けられます。さらに60歳以上の父母や祖父母が、20歳以上の子や孫に贈与する場合には相続時精算課税を申請し、贈与税の特別控除額2500万円が利用できます。これらは生前に処分した場合の税金ですが、亡くなった後に負担する相続税については、基礎控除額の理解があると比較対象に便利です。基礎控除額とは承継資産価格から先ず控除されますから、この価格以上でなければ税負担をしなくてよい基準になります。基礎控除額は亡くなった時期によって異なります。平成27年1月1日以後であれば、(3000万円+300万円×法定相続人の数)で、前であれば(5000万円+1000万円×法定相続人の数)になります。このような費用全体を俯瞰しながら不動産の処分方法を決める必要があります。

相続税の生前対策として借地を整理する

不動産を所有している場合、いずれはやってくる問題に相続があります。誰が不動産を承継するのかは勿論のこと相続税対策も考えておく必要があります。原則として相続税の基礎控除額以上にならなければ負担義務はないので、先ずは基礎控除額がいくらなのか理解しておきましょう。基礎控除額は平成27年1月1日から改定されており、その日以後に相続が始まった場合とそれより前に相続が始まった場合で異なります。平成27年1月1日より前は(5千万円+1千万円×法定相続人の数)まで非課税です。以後は(3千万円+300万円×法定相続人)となり非課税枠が縮小されました。例えば、法定相続人が2人で不動産価格が3700万円の場合以前は非課税だったのが、現在は100万円について相続税の負担があります。この点は、相続開始時期について注意が必要です。

相続税の生前対策が必要な事例として借地があります。借地は更地を基準に評価され、単純に言えば、建物など借地権の対象となっている割合を乗じて評価します。ただし借地権の態様によって修正される場合があります。更地面積を100とし借地権負担が50であれば、更地評価額の50/100といった具合です。相続税における不動産価格は、路線価又は評価倍率で見ます。路線価や評価倍率は毎年7月に発表され、道路に面する標準的な宅地1㎡の価格が路線価であり、路線価を定めない地域について評価倍率を用いて評価します。

借地を相続する場合の問題として底地があります。底地とは、土地を貸して第三者に利用させ地代を得ている土地のことです。こういった土地を相続した場合、第三者の家等の負担があるために流通性が乏しく資産価値が低く見積もられがちですが、相続税の負担はしなければなりません。地代が高額であれば底地のまま継続所有する考え方もできますが、通常は高額でないことがほとんどです。したがって相続が開始する前の生前対策が必要です。考えられる方法として、借主に土地を売却するか、又は家を買い取るかして家と土地を同一所有者にする整理方法、不動産会社に売却し現金化する整理方法などがあります。物納の方法もありますが、一定条件があり一般的とは言えません。できれば同一所有者になる方が資産価値が上がるため好都合ですが、土地を売却するには価格面で高望みはできませんし、家を買い取るなら不要な維持費又は取り壊し費用が掛かります。不動産会社に買い取ってもらうには買い取り価格を比較する必要があります。いずれの方法も一長一短があるので、十分な生前対策の時間が必要です。