相続した不動産の売却時には取得費加算の特例がオススメ!

不動産を売却した場合、売却価格から不動産の取得費と譲渡に直接要した費用を差し引いて譲渡所得(売却益)を求めます。この際に特別控除の特例に該当する場合は、譲渡所得から該当する特別控除額を差し引く事ができ、その中でも最も有名な特例は居住用の不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除です。算出した譲渡所得は、不動産の所有期間に応じて長期譲渡所得、短期譲渡所得に分類し、それぞれの区分に応じた税率を乗じて所得税と住民税を計算します。適用する税率は、長期譲渡所得であれば所得税15%、住民税5%、短期譲渡所得であれば所得税30%、住民税9%となり、長期譲渡所得の軽減税率の特例を適用する場合は6,000万円以下の譲渡所得に対して所得税10%、住民税4%を適用する事ができます。また、算出した所得税には2.1%の復興特別所得税が加算される点に注意して下さい

この譲渡所得の計算においては、前述の特別控除の特例以外にも特例を適用する事ができます。取得費加算の特例もそうした特例の一つで、売却した不動産が相続または遺贈により取得した物であり、かつ取得時に相続税を負担している時は、税額の一部を取得費に加算することができる制度を言います。この特例で加算できる金額は、負担した税額のうち不動産に係る税額のみが対象となる為、例えば、5,000万円の住宅と3,000万円の現金を遺贈により取得した時の税額が1,000万円の場合では、5,000万円÷8,000万円×1,000万円=625万円が取得費に加算できる金額となります。なお、この特例を適用する為には、取得した遺産を相続の開始があった日(被相続人の死亡を知った日)の翌日から起算して、3年10ヶ月を経過する日までに売却しなければいけません。さらに取得費が不明である場合は、通達により売却価格の5%相当額を取得費とする事ができ、実際の取得費が5%以下の場合も同様です。

取得費加算の特例を受ける為には、確定申告において必要な書類を提出する必要があります。申告時に必要な書類には、確定申告書、譲渡所得の内訳書、株式に係る譲渡所得等の計算明細書、取得費に加算される相続税の計算明細書、相続税の申告書の写しなどが挙げられます。また、譲渡所得の計算において、特別控除の特例を受ける場合は、該当する特例において必要となる書類も合わせて提出する必要があります。

小規模宅地特例を利用した不動産の相続

親族の誰かが亡くなって相続が発生し、資産を引き継ぐ時、基本的には相続税が発生します。それは、亡くなった人が所有していた住居等の不動産についても適用されます。住居の所有者が亡くなってしまった場合、住んでいた家族がその場所に住み続けるためには、税金を納めなければいけません。その資金をどこから捻出すればいいのか困った時に役立つのが、小規模宅地特例と呼ばれるものです。この特例は、亡くなった人と一緒に生活していた家族の宅地に関して、いくつかの条件さえ満たしていれば、その宅地本来の評価額を80%減額して課税を行うという仕組みです。例えばですが、5000万円の評価額とされた宅地であっても、特例の条件に当てはまれば1000万円の評価額で税金の計算がなされます。かなりの節税をすることが可能になるので、対象になりそうな場合は積極的に利用したい制度と言えそうです。小規模宅地特例が定められた背景については、遺族が多額の相続税を苦にして、遺産として相続した住居を手放すような事態になることを防ぐためです。また、たくさんの不動産を所有している人にとっては、資産の総額が大きいほど大きな節税効果をもたらすため、非常にメリットがあります。特例が適用されるための条件ですが、まずはその不動産が被相続人の住居であったかどうかという点が挙げられます。居住目的でない事業用でも問題はありませんが、別荘等の場合だと対象外となります。

次に、不動産の所有者が亡くなった後、それを引き継いだ新しい不動産取得者の利用状況を確認します。税金の申告期限までに、基本的にはその取得者が宅地に住み続けていることが必要です。一部例外もあり、亡くなった人の配偶者は利用条件の有無は関係ありません。そして、評価額が減額される対象となる範囲については、上限が設定されています。住居として使用されているものは330平方メートルまで、事業用だと400平方メートル以内です。特例が適用される宅地の面積がこの上限を超えている場合は、評価額の高い場所から適用させていくことができます。条件に当てはまってさえいれば、賃貸に利用していたり駐車場として使っている場所であっても評価額の減額が可能です。面積や減額率については、より上限が厳しく設定されている部分には注意しておきましょう。また、小規模宅地特例によって相続税自体が発生しなくなったとしても、書面上での申告手続きは必要です。