相続する前に必要のない不動産を売却するメリット

両親や祖父母が亡くなり、遺産を残された親族が受け継ぐ。誰でも一生に何度か出くわす光景ですが、相続する財産の額が同じでもその財産の形態が違うだけでメリットを受けられたり、あるいはデメリットを抱え込んだりと大きな差が生まれます。財産の形として現金や預貯金、有価証券、宝石貴金属類、骨董品や美術品、土地建物、などなど多数ありますが、相続にさいしてとくに大きいのは「不動産の形であるかどうか」というポイントです。
数あるトラブルのなかでも一番多いのが、不動産を共有することで発生するものです。例えば家屋敷を相続した場合、遠方の住む兄弟は持ち分はあるものの一切利用できず、その家に住む人間だけが土地建物の恩恵を受けられる不平等が起こります。あるいは自分は不動産を売りたいのに、共有している兄弟が首を縦に振らないため売却が進まない、といった事態も起こりえます。こういったトラブルは遺産のほとんどが不動産で現金が少ないケースで、相続人が平等に分配しづらいため仕方なく不動産を共有という形になってしまうのです。これを防ぐには、事前に売却して現金やその他の分配しやすい形に換えておくことが必要になります。
祖父母や両親など、自分が財産を受け継ぐ相手には(亡くなった後のことのため言いづらいことかもしれませんが)、あらかじめ財産の整理をしておくことを勧めておけば争議が起こりにくいでしょう。相続問題が泥沼化して裁判にでもなれば経費がかさみ、関係者全員が損をすることになります。都心など一部を除く地域に所有している不動産ならこれからの少子化時代に価値が下がってしまう可能性も高く、また現在使っていない、家族に必要のない土地建物も管理費や固定資産税が出ていくばかりです。相続を機会としてこれらを売却し、資産の「一本化」をする方も近年増えてきています。現代は昔ながらの株式や貴金属だけでなく、FXや各種投資などさまざまな資産運用の方法があります。動かしにくく、値上がりが見込みにくい立地にある不動産であれば現金の状態に換えて手元に置いておくほうが有利といえます。今のところ必要のない、眠っている資産を動かして運用するという選択肢を両親に示してみてはいかがでしょうか。ただし、不動産の売却には各種税金や仲介手数料もかかります。将来自分たちが必要とするかもしれない、値上がりの可能性がある、こういったものは売ってしまうと再度買い戻すのに大変なロスが生まれます。そのため売却の前に慎重にこれらの要素を検討することをお勧めします。

不動産を相続したら放置せず建て替えて固定資産税を減免

不動産を譲渡され名義を変更すると固定資産税の請求は相続人宛てに届くようになり、ほとんどの自治体は4期ごとに納付通知書を送付していますが、一括で支払ったりクレジットカードで支払うこともできます。
名義変更には期限が無いため故人の名義のまま変更を忘れていたというケースがよくありますが、名義変更を放置していた最中でも固定資産税の支払い義務は発生するので、延滞金の発生を防ぐためにも手続きは早めに済ませたほうが得策です。
名義変更の手続きは個人でもできますが登記事項証明書や戸籍謄本及び住民票、遺産分割協議書や評価証明書などの必要書類の提出と登録免許税などの諸経費がかかるため所要時間を考えると専門家に依頼したほうが手間がかかりません。
個人で名義変更をした場合、平均で半年はかかる法務局への申請手続きを司法書士に依頼したなら1ヶ月ほどで完了させます。
遠方の地にある不動産を相続したものの空き家のまま放置する遺族が近隣に衛生面や防犯面で迷惑をかけることを防ぐため、政府による空家対策特別措置法が平成27年5月から施行されました。
空家対策特別措置法により放置したままの空き家が倒壊などで近隣に多大な危険を与える恐れがある特定空き家だと判断されると、固定資産税額が最大で従来の6倍に増額されます。
不動産を売却したくはないが6倍もの税金を支払いたくない場合、不燃化建造物へ建て替えるか解体して更地にすると、建設工事費用や解体費用の助成金、固定資産税の減免を受けられお得です。

特に重要な不動産でない場合は資産価値が下がる前に売却したり修繕して借家として貸し出すことで、相続税の取得費加算の特例で不動産譲渡所得税が減額されたり、借家にすることで借地権が発生し次に借家を相続する人への税金が3割軽減されたりします。
現金や株式に比べ土地や建物は贈与税などが低いため、不動産が相続税対策に有効な由縁です。
近年では借家の他に民泊などを経営する手法もあり空き家のまま放置して高額な固定資産税を支払い続けるよりも、修繕したり建て替えたりして賃貸に出したほうが家賃収入を得られると人気が高まっています。
借家経営や民泊経営を代行する業者も増え、家賃から何割かの代行手数料を差し引かれるだけで遠方の土地や建物を管理してもらえて便利です。
不動産を相続することで負債を被る場合は、家庭裁判所に放棄を申し立てたり自治体に不動産を寄付をすれば処分できます。