相続税のため、不動産を売却すべき?

財産の多少を問わず、必ず避けては通れない「相続」。そのさいに発生する「税金」も多くの人にとって他人事ではありません。「ウチはそんな資産家じゃないから関係ない」とお考えの方も多いでしょうが、2015年からは基礎控除分が縮小され、課税対象となる人が確実に増えてしまいました。事前に対策を講じておくことで、大きく節税ができるケースもあります。さまざまなメリット・デメリットがありますので、個々の事情に応じてそれらを組みあわせていくと良いでしょう。対策の一つとして、「事前に手持ちの不動産を売却しておく」というものがあります。

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売却した場合のメリットとしては、「現金化しておくことで相続人の間で分配しやすくなる」ことが大きいでしょう。不動産の形で相続してしまい共有ということになると、その運用や売却を巡って兄弟間のトラブルになりやすいものです。また、手持ちの不動産が各地に点在していて管理費がかさむ、家屋が老朽化している、といった場合も相続を機に売ってしまい、資産を整理するという方が多く見られます。
デメリットとしては、現金や預貯金で手元に持っていると、その額面通りに資産が評価され、相続税がかかってきます。ところが資産が不動産である場合は路線価などを基準に評価されますので、現金よりずっと低く評価される場合が多く、当然課税額も低くなります。つまり売却してしまうと税額が増えてしまう可能性があるのです。ちなみに近年流行している超高層のタワーマンションですが、階数が多く土地の持ち分の多いこういった不動産を富裕層が購入し複数所有するのは、上記の理由で節税になるためです。また売却時には不動産業者への仲介手数料のほか各種税金がかかりますし、購入値より売却値が高い場合「譲渡益」が発生しますので、サラリーマンであっても確定申告が必要になります。
これらのメリット・デメリット以外にも、相続する方の人数や個々の経済状況、所有して賃貸に出している不動産の収益、住居として今後も使い続けるかどうか、などさまざまな要素が存在するため、一概に「売る(売らない)ほうが得」とは言い切れません。税金は種類が多く、経済活動をするたびにかかるものです。そのためむやみに動かず、まずはご家庭の状況や資産などの情報を整理したうえで当該問題に精通した弁護士、司法書士、税理士などの専門家に相談されると無駄な出費を抑えて賢くこの問題に対処することができるでしょう。

相続した不動産を相続登記しないで放置した場合のデメリット

土地、建物などの不動産には、その不動産がどこにあり、どういう不動産であり、所有者や抵当権者が誰であるかなどの情報が法務局の登記所というところに登録されています。これは不動産が高額な商品であるため、紛争を事前に防止するための制度で、表題登記と呼ばれる地目や構造、地積などといった基本情報については登記が義務付けられています。それに対し所有権や抵当権といった権利に関する内容についての登記は義務とはなっておらず、登記をしないで放置しておいても法律上の問題はありません。
特に売買の場合は他人から金銭を支払った対価として購入するため、購入した証を公のものとするために登記されずに放置されることはあまりありませんし、さらにはローンなどで借入をして購入した場合は返済が滞った際に差し押さえる目的で抵当権の登記が必要になり、その前提として所有権の登記が放置されることは基本的にありえません。しかし、相続の場合は前の持ち主が亡くなっているため急いで登記する必要が無いと考えられがちで、また、登記されていないだけで、遺言書や遺産分割協議書、法定相続の場合は戸籍謄本などで実際の持ち主が明確になるため、相続登記しないままでも問題がなさそうに見えてしまいます。
もちろん、相続人同士の関係が良好であって、新たな所有者に変化が無ければ問題あまりないのですが、登記されていない新しい所有者が亡くなった場合にはさらに新しい所有者に所有権が移るわけですが、前の所有権移転が相続登記しないで放置されているため、登記所からみると所有者が前の前の所有者になってしまっているため、登記ができなくなってしまいます。これも登記しないで放置しても法律上の問題はありませんが、他の共有持分を持つ所有者も無くなって相続された場合になると所有者を調べないと分からなくなり、さらには簡単には調べられなくなってしまいます。
不動産は不動産というものの性質上、土地のみで境界が明確な場合でもない限り簡単に分割して分けるということができず、物件全体を所有権の割合に応じて持分の権利を分けることとなります。他の所有者の同意、それもただの口頭での同意ではなく、印鑑証明書と実印による同意がなければ売却することも賃貸することもできません。このため、放置されたまま所有者が増えてしまうと、固定資産税(と都市計画地域については都市計画税)がかかり続けるものの、使うことも出来ない状態で置いておかなければならなくなってしまいます。これが相続登記しない場合の最大のデメリットです。もしも相続後に速やかに所有権移転登記を行っていれば起こらなかった問題が起こる可能性が高いので、法律による義務はありませんが早めに登記を済ませることを強くお勧めします。蛇足ですが相続による登記の際の登録免許税は売買や贈与の場合にくらべてかなり低くなっているため、売買の場合ほど費用はかかりません。